〈 東京・三鷹のシュタイナー園 〉

一般社団法人ヴァルドルフの森 キンダーガルテン なのはな園

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園のこと

なのはな園について

なのはな園はドイツの哲学者であるルドルフ・シュタイナー(1861 〜 1925)の人間観・世界観(人智学=アントロポゾフィー) にもとづいて、幼児教育を実践しています。

シュタイナー幼児教育の
3つの柱

1身体を育てる

出生時に3キログラムで生まれ、殆ど眠っていた赤ちゃんが、1歳のお誕生日を迎える頃には3倍の9キロくらいになり、歩き出そうとしていたり、「あー、あー」と何らかの意思の疎通ができるようになったりします。シュタイナー教育では、この一年に象徴されるように人間の一生の中で、生後から歯の抜け変わりが始まる6〜7歳頃までは、身体を育てる時期と考えています。それはただ大きくなるということではなく、自分自身の器として一生携えて生きていくための身体を作り育てるという大事な意味があります。そのために大切なことは動と静で繰り返される生活リズムを通してゆったりと安心できる呼吸を育てること、やがて判断する力になる感覚を育てること、そして自分でできることは自分で行うという意志を育てることです。これらを通して、子どもが心身ともに健全に成長できるようにと導いていきます。

2遊ぶこと

毎日遊ぶことを通して、幼い子どもはとても多くのことを体験し、生きる力を得ています。けれども現代では「遊んでもらう」ことが多くなり、自らの力で何も無いところから遊びを作り出せる子どもが少なくなっています。子どもの生きる力につながるために基本となっているのが、1歳頃に周囲の世界にあるものを触り、握ったり、引っ張ったりして自分から何かを見つけたり、動かしたりする面白さを体験すること。2歳になれば、木の実をごちそうに見立てたり、木片を電車に見立てたりして、豊かな想像性を発揮できること。3歳になると日々の生活で体験していることをごっこ遊びにして楽しめることです。3歳までに自分のやりたい遊びを十分に満足できることで4歳以降に、友だちと一緒に遊ぶことを楽しめるようになります。6歳頃になると、自分の中のイメージを友だちと共有し、もっと世界を広げることができるようになるのです。このように遊ぶことは、子ども自身が意欲的に自分の手足を動かして、何かを作りだすことであり、そういう遊びができると充実感、達成感を味わうことができます。そしてそれが子どもの自信となり、やがて自己肯定感へとつながります。

3関わりの中で育つこと

人は生まれた時から一人では生きていけません。だから人は2歳頃に「話す」力を身につけます。「話す」ことは自分の思いや考えを表現するひとつの手段であり、他者のことを理解するために「聴く」力にもつながります。3歳になると友だちと一緒に過ごすことが楽しくなり、自分から関わりを持とうとします。けれども幼い子どもは、使いたいおもちゃを取ってしまったり、嫌なことがあると叩いてしまったりすることから始まります。その時に、友だちが泣いてびっくりしたり、「貸して」「ごめんね」という言葉を周りの大人が一緒に言ってあげることで徐々に覚え、やがては自分の身についていきます。友だちとの関わりは、体験を通してしか育てることはできません。悲しい経験が喜びに変わるのも、関わりで体験できる良さです。園での集団生活を通して得ることができた楽しさや喜びは、これからより広い社会で生きる時の力になります。

なのはな園が大切にしている
7つのこと

1シンプルなおもちゃ

いろいろな種類の木の実、木片、貝殻、布、紐、板、椅子等がなのはな園にあるおもちゃです。このようにシンプルなおもちゃが子どものファンタジー(想像力)の力を引き出し、ごっこ遊びが豊かなものになっていきます。子どもたちは自らの力で遊びを作り出し、友だちと一緒に展開していくことによって達成感を味わいます。幼児期特有に見られる見立て遊びは、子どもたちの内側でファンタジーの力がとても豊かに働いていることの表れです。だからこそシンプルなおもちゃを素材にして、子どもたちが自ら遊びを作りだせる環境を大切にしています。

2毎日のおやつとお弁当、手作りの給食

子どもたちの遊ぶ傍らで先生が毎日その日のおやつを作ります。おやつは穀類を中心として、曜日ごとに決まったものを食べます。食べることを通して、素材そのものの味、匂い、食感などを子どもたちは全身で感じ取っています。食材は子どもの健全な育ちを支える為に、有機のものを選んでいます。週に一回、有機の野菜を持ち寄ってスープを作り、五分つきの玄米を焚いて給食を食べ、火曜日から金曜日はお母さん手作りのお弁当をみんなでいただきます。なのはな園で大切にしている食の在り方は、華美な見た目にとらわれず、食材のそのものに感謝をもって味わえること、空腹を感じておいしく食べられることです。

3ゆったりとした呼吸

なのはな園の一日は、活動的な時間と自分の内側に戻ってこられる静かな時間の繰り返しで成り立っています。例えば、室内で自由に遊んだ後、子どもたちはおもちゃを片付け、椅子に座り、綺麗に片付いた部屋を体験します。外遊びの後は、静かに物語を聞く時間があります。この動と静の繰り返しが呼吸のリズムであり、まだ呼吸を育てている子どもたちの身体づくりにつながります。子どもの成長を支えるゆったりとした呼吸は、穏やかさの中にあり、子どもに安心感をもたらします。

4季節と共にめぐる生活

なのはな園は、子どもたちが四季の移り変わりを感じられるお庭に囲まれています。春、桜の花が咲きやがてさくらんぼが実ります。夏、だんだん黄色く熟していく枇杷の実を眺めます。秋には真っ赤に色づいた紅葉の美しさを感じます。冬、寒い大地から生まれた霜柱の不思議さに驚きます。そして、一番大きな梅の木は春の訪れを知らせてくれます。子どもたちはこの大きな日々のめぐりを、肌触り、色、におい、味わい、歌、動きなどを通して、身体に刻みつけます。一年経って、再び季節が戻ってきた時、「あー、これこれ」と忘れていた感覚を身体から取り出し、確かめるようにして新たな体験を取り入れます。これは祝祭、お祭りという季節と共にある文化の伝承であり、日本に生きる子どもたちの「私」を育てることにつながります。

5子どもの成長を支える環境

乳幼児期の子どもは「大きくなりたい」という思いに溢れています。自分の周りにいる親、兄姉、友だちのやっている事をよく見て自分も同じ様にやってみようとします。その時、周りの大人ができることは環境を整えることだけです。模倣して遊べること。自分でできる事を自分の力でやってみること。受け身でなく遊びを作りだすこと。そしてなにより、子どもたちのそばにいる保育者は子どもと信頼関係を育て、模倣される存在として常に自己を見つめて成長していきたいと願っています。なのはな園はそれらの環境を大切に育て、整えてきました。

6ともに育ちあう縦割り保育

なのはな園では、3歳から6歳までの子どもたちが大きなお家のように1つの部屋で過ごします。竹の棒を合わせて紐で巻いたり、椅子を並べて電車にしたり、板をつかってクレーン車を作ったり等。これらは子どもたちが伝え合ってきたあそびであり、なのはな園の宝物になっています。4月に入園した子どもたちも、年長の子どもたちが紡ぎだしてくれるリズムに身をゆだねる事で、園での在り方を自然と身につけていきます。一方、その年齢ごとの育ちも大事にしています。3歳児が入園した頃には落ち着いて遊べる環境を作り、就学直前の年長児には友だちと関わりあって満足できる時間をつくっています。だからこそ、その年齢になったら体験できることを信頼して待つことも大切にしています。

7ひとりひとりが大切な存在

なのはな園では、子どもたち一人ひとりのお誕生日をその日にお祝いします。(誕生日がお休みに当たった場合にはその後、日程を調整しておこないます。)それは、子どもたちがこの世に生まれてきたこと、そしてその子が今ここに居ることを感謝と喜びをもってみんなが受け止める大事な時間です。それが日々の生活の中では、相手の存在を大事に思う「ありがとう」や「いいよ」という言葉に繋がります。
子どもは成長の階段をその子らしくひとつずつ上っていきます。時に親は他の子と比べて「大丈夫だろうか?」「これでいいのか?」と悩んだりします。けれどもなのはな園では、保育者と保護者がその子の育ちを共に見つめ、面談等を通じて、分かち合う機会を持っています。
一人ひとりがかけがえのない存在であり、この子の今と未来につながる日々を過ごすことが、なのはな園の果たすべき使命だと考えています。

1 日の流れ

登園

室内遊び
月曜日:スープづくり
火曜日:にじみ絵
木曜日:クレヨン画(4月〜9月)
金曜日:クレヨン画(10月〜3月)

お片付け、トイレ
手洗い
ライゲン(輪になって行う言葉と歌の遊び)
水曜日:オイリュトミー
※子どもの誕生日にはお誕生のお祝いをします。
おやつ
月曜日:寒天ゼリー(4月〜9月)・米粉だんご(10月〜3月)/火曜日:ミューズリー/水曜日:きびだんご/木曜日:はとむぎだんご/金曜日:ライ麦クッキー
外遊び
金曜日:散歩(4月〜9月)
木曜日:散歩(10月〜3月)
※小雨の日や寒い日も散歩に出かけます。

お片付け、トイレ
手洗い
お話、お祈り
お弁当 
月曜日: 給食
※手作りのご飯と野菜スープ


降園(年少)3歳児
降園(年中)4歳児
降園(年長)5歳児

お休みについて

土日祝日はお休みです。長期休みは、春、夏、冬休みがあります。

のこり遊びについて

のこり遊びを利用できる日があります。
1.5時間(15:30まで・おやつつき800円)
※毎日行われているものではなく、園の行事や保育内容によって行われない日があります。

教師紹介

松浦 園
松浦 園 まつうら その

20年間私立幼稚園に勤めた後、1997年に渡米。カリフォルニア州サクラメントのルドルフ・シュタイナーカレッジでシュタイナー幼児教育を学ぶ。2000年春より、なのはな園の担任教師となる。現在、日本シュタイナー幼児教育協会代表理事。幼稚園教諭、保育士そしてシュタイナー幼児教育者としても資格を有する。
富山 雅江
富山 雅江 とみやま まさえ

日本シュタイナー幼児教育協会養成講座一期で学ぶ。2003年より、なのはな園教師となる。幼稚園教諭、保育士そしてシュタイナー幼児教育者としても資格を有する。
木村 十代香
木村 十代香 きむら とよか

日本シュタイナー幼児教育協会養成講座二期で学ぶ。2011年11月よりなのはな園の助手を務め、2019年よりなのはな園教師となる。幼稚園教諭、保育士そしてシュタイナー幼児教育者としても資格を有する。